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BLUE LINK PROJECT

あおもり藍のこと

あおもり藍のこと

「青」を名に冠する
青森県に
藍の歴史あり

青森といえば「りんご」が有名ですが、かつては「藍」の栽培も盛んでした。
江戸時代に日本海回りの北前船で徳島の藍が入るようになり、津軽藩士たちは藍を育て、藍染めを生業のひとつとしていました。
城下の「紺屋町」には、100以上の染物屋が軒を連ねていたといいます。
藍染めした布は防虫やあせもなどに効果的で、重宝されたのは野良着。
着古したものを再び藍で染め直すことで、何世代にもわたって受け継がれてきました。

明治時代に入ると、合成染料の普及で津軽の藍栽培や藍染めは廃れてしまいましたが、「伝統の藍に科学の革新を取り入れ、再び産業として復活させたい!」という有志が、休耕田を活用して無農薬で藍を育てる取り組みをスタートさせました。
その有志が2006年に設立したあおもり藍産業協同組合が、「あおもり藍」ブランドを生み出し、その価値を確立させたのです。

私たちBLUE LINK PROJECTは、あおもり藍が青森発のブランドとして人々に広く認知され、暮らしに浸透し、活用の裾野が広がるように、あおもり藍を活用した商品やイベントを企画・デザインして発信しています。

あおもり藍の歴史

頼りにされてきた
藍のこれまでと
これから

染料としての藍 ─これまで─

藍は、青色を発色する数少ない天然の染料です。
日本で藍染めに使われているのは「タデアイ」という種類。
中国からコメと共に伝わったとされ、はじめは薬として使われたようです。

防虫・抗菌効果が高いことから、
「大切な着物は藍染めの風呂敷で包むと虫に食われない」
「藍染めの足袋を履くと水虫にならない」
「藍染めの手甲脚絆(てこうきゃはん)をつけると蛇よけになる」
と言われてきました。

また、保温・抗炎症効果も高いことから、
「藍染めの肌着をつけると、冷え症や肌荒れ、あせもが改善する」
「藍染めの布で切り傷の止血をすると化膿せずに早く治る」とも。

江戸時代には藍染めは庶民にまで浸透し、貴重な布を何度も藍で染め直し、継ぎあてを重ね、何世代にもわたって受け継いできました。
その「ぼろ」と呼ばれる着物は、今日では「BORO」としてアートテキスタイルデザインの分野で高く評価され、SDGsの理念にもかなう文化です。
明治時代に来日したイギリス人に「JAPAN BLUE」と称賛された藍染め。濃淡で多彩な色を生み出す藍は、美しいだけでなく暮らしに欠かせないものでした。

あおもり藍のこれまでとこれから

あおもり藍の染料としてのチカラ ─これから─

藍染めは「使い込むほどに風合いが増す」と言うと聞こえはよいのですが、色落ちが激しく、色移りしやすく、色褪せしやすい、という特性があり、
日常使いの衣類には敬遠されることも少なくありませんでした。

そこで、あおもり藍産業協同組合は、独自の染料生成・染色技術を開発。
伝統的な藍染めは、藍葉を乾燥・発酵させる「すくも」を用いる手法で、職人による経験や勘を頼りに100日以上かけて染め液をつくります。

これに対して、藍産業は藍葉を乾燥させてパウダー化し、とある食品添加物を調合して染め液をつくる手法を編み出しました。
そして、この染料生成・染色工程をデータ管理することで、天然の染料では難しかった染色堅牢度 の高さと染め分けを実現したのです。
染色堅牢度…日光や汗、洗濯、摩擦、アイロンなどの要因に対する染色の丈夫さの度合い)

堅牢度は、日本工業規格の試験でほぼ4-5、5(最も高い堅牢度は5)と極めて高く、染め分けは、藍白(薄水色)から濃藍(濃紺色)まで8色の濃淡を再現できます。
藍染めの色の概念を打ち破る、JAPAN BLUEの中でも別格のAOMORI BLUEです。

独自の染料生成・染色技術の特長は、これだけにとどまりません。

  1. 製品完成までの所要期間は、すくも式の20分の1以下に短縮
  2. 工程のデータ化で、染色の均等化・再現性に優れるため量産可能
  3. 布地だけでなく、木材や皮革、紙の染め分け表現も可能
  4. 染め液は発酵の工程を経ていないため、より高い抗菌性を発揮

…などなど、まさに選ばれる藍染めです。

そして、あおもり藍は宇宙へ。
2010年、スペースシャトル「ディスカバリー」に搭乗した山崎直子宇宙飛行士の船内着として宇宙に飛び立ったのがあおもり藍のポロシャツ。
JAXA(宇宙航空研究開発機構)が公募したコンペティションで採用された決め手は、宇宙空間でも安心な天然成分による抗菌・防臭性の高さでした。
BLUE LINK PROJECTが扱う藍染めのプロダクトは、すべて藍産業に染色を依頼した正式なあおもり藍製品です。多彩な藍の表情をうまく引き出した商品の開発をめざしています。

あおもり藍の染料としてのチカラ

生薬としての藍 ─これまで─

藍は、染料の原料としてだけでなく、薬草として古くから珍重されてきました。
多くの薬学書に、解毒や解熱、消炎、止血、虫刺されなどに効果ありと記されています。
また、すくも(藍葉を発酵させた染料のもと)を服用することでふぐ中毒の特効薬になるといわれ、江戸時代には藍の商人が長州を訪ね、ひと握りのすくもと引き換えにふぐ料理をご馳走になった、というエピソードも残っています。
漢方医学では、かぜ、のどの痛み、発疹、皮膚感染症、口内炎などに効果があるとされています。

中国・唐の時代に書かれた「薬性論」では、藍について
「骨髄を鎮める、耳目を明らかにする、五臓を利す、六腑を調える、関節を利す、経絡中の結気を治し、人を健やかにする、睡眠を少なくする、心力を益す」とあります。
心身を健やかに保つ働きをしてくれるような効能が記されています。
かつて、藍は解毒や解熱によく効く薬として利用されたばかりでなく、アンチエイジングを謳ったサプリメントのような存在でもあったのだと想像します。
藍は、葉も実も日常的に摂取していた薬効のある身近な食品。
命を支え、輝かせる「色」として頼りにされていたことは確かなようです。

生薬としての藍

あおもり藍の食品としてのチカラ ─これから─

あおもり藍は、農薬不使用で栽培された安心安全な‶食べられる藍〟です。
特筆すべきは、活性酸素を除去する働きに優れたポリフェノールの含有量。
東北医科薬科大学の佐々木健郎教授の測定では、総ポリフェノールはなんと3,030㎎/100g。
これは、ケールや若葉の4倍にもあたる量です。ポリフェノールの中でも、多くの健康機能が報告されているケンペロールを特に多く含んでいて、野菜ではホウレンソウが特に多いそうですが、そのホウレンソウの10倍も藍は含有しているそうです。

そして、抗酸化作用。藍はブルーベリーやホウレンソウの5倍以上の抗酸化力が認められているほか、アスコルビン酸(ビタミンC)の含有量もケールの2倍、レモンの1.5倍と極めて豊富で、アンチエイジング効果も期待されます。

また、藍の色素や苦み成分として豊富に含まれるフラボノイド類にコレステロールを減らす効果が確認されているほか、トリプタンスリンという成分にインスリン抵抗性 を改善する可能性があることを、前述の佐々木教授がマウスの細胞実験で明らかにしています。
インスリン抵抗性…糖代謝におけるインスリンの作用不全を示す病態で、主に2型糖尿病で認められる)
佐々木教授の論文では、血糖値への影響だけでなく、エネルギー利用の効率化にも影響すると考えられることから、疲れやすさや倦怠感の改善にも効果を認める可能性を示唆しています。

このように、あおもり藍は食品としても優れた効能があることが確認されています。
BLUE LINK PROJECTは‶食べられる藍〟をフィーチャーした商品開発を地元企業と一緒に進め、新たなあおもり藍ファンの獲得につなげたいと考えています。

あおもり藍の食品としてのチカラ

あおもり藍の
最たるチカラ
「抗菌性」

藍が、染料としても生薬としても優れているのは、高い抗菌作用があるからです。
その抗菌作用をもたらす物質が、藍に特徴的に含まれる「トリプタンスリン」。
トリプタンスリンは水に溶けにくい成分で、抽出するにはアセトンやジクロロメタンなどの石油系有機溶媒を使うのが一般的ですが、農薬不使用・自然農法で育てたあおもり藍にはそぐわない抽出方法です。そこで、東北医科薬科大学薬学部の佐々木健郎教授が研究を重ねた結果、2014年に天然成分を使って抽出する方法を編み出し、トリプタンスリンを高濃度で含む天然由来成分100%の抽出液を開発することに成功したのです。

特許を取得した天然成分を用いる新しい抽出方法は、これまでの石油系の有機溶媒を用いた抽出方法と比べると抽出効率は約30倍、抽出液はほぼ透明、安全で肌に優しい、と良いことずくめ。しかも、トリプタンスリン単独よりも、トリプタンスリン高濃度含有の抽出液のほうが、抗菌活性が大幅に向上するという結果をもたらしました。ひとつの菌が100万個まで増えるような条件下でも、この抽出液を染み込ませた繊維の周りではほとんど増殖せず、静菌活性値 は限界値の6.0という天然成分としては信じがたいようなレベルです。
静菌活性値…菌の繁殖をどの程度抑えられるかを表す数値。JIS抗菌基準は2.0以上。数値が高いほど効果が高い。)
さらに、抗菌活性が強いにもかかわらず、抗炎症効果があることも分かっています。

あおもり藍の最たるチカラ「抗菌性」

確かな抗菌性を生かした製品づくり

藍由来の抗菌活性物質トリプタンスリンを天然成分で抽出する特許技術は、あおもり藍を「染め物」から「安全な抗菌剤」へと飛躍させました。あおもり藍産業協同組合が第一弾製品として2015年に発売したのが「あおもり藍消臭・抗菌スプレー」。天然由来成分100%の抽出液「あおもり藍エキス」が原料です。

〈消臭・抗菌スプレーの特長〉

  1. 素肌への安全性…農薬不使用で育てたあおもり藍から抽出した成分は、食品グレードで安全。藍の抗炎症効果で肌の弱い方、赤ちゃんやペットのいる家庭でも安心して使えます。
  2. 高い消臭性…アンモニア臭は10分で70%以上、イソ吉草酸(靴下の蒸れ臭)は10分で90%の悪臭を除去。足の発汗による臭いのほか、ミドル脂臭や加齢臭、使用後のおむつなど気になる臭いを強力に断ちます。
    (日本食品分析センターの消臭効果試験)
  3. 確かな抗菌性…スペースシャトルの船内着として搭載実績のあるあおもり藍の抗菌性は、宇宙空間でも安心という折り紙付きです。また、院内感染の主な原因菌とされるMRSA、食中毒を引き起こすO157やサルモネラ菌にも極めて高い増殖阻害効果のあることが確認されています。
    (東北医科薬科大学の研究に基づく日本食品分析センターの殺菌効果試験結果)

あおもり藍エキスは、その抗菌性を生かしたスプレーをはじめ、除菌ウエットシートや石けん、ボディソープなどの衛生用品に活用されています。BLUE LINK PROJECTでは、あおもり藍産業協同組合が企画した衛生用品をすべて取り揃えて販売しています。

あおもり藍は
「抗菌」+
「抗ウイルス」効果

細菌とウイルスは、どちらも他の生物に感染して増殖するイメージがありますが、全くの別物です。
細菌は栄養を取り込むことで細胞分裂を行い、自ら増殖することができますが、ウイルスは細胞を持っていないため単独で増殖できず、他の生物の細胞に入り込むことで増殖します。構造や増殖の仕組みが異なるため、抗菌だからウイルスにも効果があるとは限りませんし、逆もまたしかりです。

細菌やカビなどへの抗菌効果があることは実証済みのあおもり藍エキス。弘前大学と東北医科薬科大学、それにあおもり藍産業協同組合の共同研究で、抗ウイルス効果があることも明らかになりました。弘前大学大学院医学研究科の中根明夫特任教授が発表した研究成果は以下です。

あおもり藍エキスのチカラ

  • 抗ノロウイルス効果

    ノロウイルスは、感染力が強く食中毒や感染性胃腸炎の集団発生を引き起こします。ノロウイルスは人工培養できないことから、よく似た性質を持つ代替ウイルスとして「ネコカリシウイルス」を用いて実験したのが2018年。ウイルスにあおもり藍エキスを混ぜたものとウイルスだけのものを、ウイルスの量を変えて細胞に植え付けて培養したところ、あおもり藍エキスを混ぜたものはウイルスだけのものと比べて細胞への感染が段階的に抑えられ、細胞の死滅を防ぐという結果を得ました。
    ノロウイルスには次亜塩素酸ナトリウムによる消毒が有効とされていますが、刺激が強いので手洗いなど人に対しては使用できません。安心安全なあおもり藍エキスが感染予防に使えれば、大きな意味を持つことになります。

  • 抗インフルエンザウイルス効果

    インフルエンザA型ウイルスにあおもり藍エキスを混ぜたものと、インフルエンザA型ウイルスだけのものに分けて1時間置いたものをイヌの細胞に植え付けて培養し比較したところ、ウイルスだけのものは1㎖あたり約6,000個の細胞が感染しましたが、あおもり藍エキスを混ぜたものは全く感染していませんでした。極めて強いインフルエンザウイルスの不活性化効果が確認できたことから、2019年11月に「インフルエンザウイルス阻害剤」として特許を出願しています。

  • 抗ヒトコロナウイルス効果

    あおもり藍エキスが、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)と同じグループに属するヒトコロナウイルス(HCoV-OC43)に対しても不活性化効果を示すことが2020年から2021年にかけて実施された実験で明らかになりました。ヒトコロナウイルスにあおもり藍エキスを混ぜて1時間置いたものとウイルスだけのものをヒトの細胞に植え付けて培養し比較したところ、あおもり藍エキスを混ぜたものはウイルスだけのものと比べて残存するウイルスの量が0.1%以下に減少しました。2週間後もウイルスの増殖は確認されず、あおもり藍エキスの成分がウイルスの増殖を阻害する極めて強い作用を持つことがうかがえます。
    ヒトコロナウイルスは新型コロナウイルスと同じベータコロナ属で風邪の原因ウイルスのひとつ。あおもり藍エキスは、新型コロナウイルスにも同様の不活性化 効果を示す可能性が高いと考えられています。
    不活性化…感染性を失わせること)
    あおもり藍エキスは、農薬不使用で栽培した藍から抽出した天然成分100%の安心安全な素材。
    不織布に塗布してサージカルマスクに、肌荒れの原因にもなる消毒用アルコールの代替品に、と感染予防製品への活用の広がりが期待されます。

青森の
テロワールが生んだ
藍エキスのチカラ

極めて強い抗菌、抗ウイルス作用で、高い有用性が示されたあおもり藍。このチカラは、あおもり藍エキスだからこそ発揮できるものであって、他の藍ではこうはいきません。藍由来抗菌活性物質トリプタンスリンをはじめとする有効成分が、あおもり藍にはずば抜けて多く含まれているからです。
東北医科薬科大学の佐々木健郎教授によりますと、あおもり藍と他県産の藍の葉をパウダーにして、液体クロマトグラフィーで成分を測定してみたところ、あおもり藍は抗菌作用のある「トリプタンスリン」が他県産の約5倍、糖尿病につながるインスリン抵抗性の改善に有効な成分「インジルビン」が約3倍も含有されていることが分かりました。 この差はどうしてなのでしょう?
佐々木教授は、要因として考えられるのは主に2つで、

  1. 青森の土壌が藍栽培に非常に適している
  2. ガンマ線の影響で遺伝子の改変がおきた可能性がある
    (ガンマ線…自然界にもともと存在している放射線で、植物に照射してDNA変異を発生させ品種改良をする技術が世界中で使われています)

品種改良をしたわけではないのに、青森の土壌で長い年月をかけて育てている間に、自然に成分の産生が違う特異的な品種になっているのではないかと推測しています。

ワインの味や品質を決める要素のひとつに「テロワール(Terroir)」というものがあります。
ワインの原料であるブドウの樹を取り巻く環境の全て(気候、土壌、地形などの特徴)を指すフランス語特有の言葉であり概念です。ブドウはテロワールの影響を受けやすい農作物で、それがワインの味わいに大きな違いをもたらします。もしかすると、藍も冷涼で雪深い青森特有のテロワールの影響を受けて、圧倒的な量の有効成分を蓄えることができているのではないかと想像します。藍が育つには厳しい土地だからこそ、その個性がトリプタンスリンなどの有効成分に反映されているのかもしれないと考えると、あおもり藍がとても愛おしくなるのです。

青森のテロワールが生んだ藍エキスのチカラ

藍のある暮らしを─。
オンラインショップ 「日々藍々」

https://aomori-ai.shop-pro.jp/

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